燃料添加剤その1・オクタン価とは?ガソリンのオクタン価を上げる方法

オクタン価を上げる方法を解説する前に
オクタン価とは何か?、説明します、不要な方は飛ばしてください。

ガソリンのオクタン価とは?

・ガソリンの特性特徴

ガソリンって便利な物性で、エンジンの為に神が作ったのではと思える程です。
高いエネルギー密度、税金がかかっているのにも関わらず、小売されている液体としては安価さ、消費量とサプライチェーンのおかげもあるでしょうが、それだけ豊富に採取出来るという事ですね。
(近年はだいぶ値が上がりましたが、ペットボトルのお茶や清涼飲料水、液体洗剤などと比較しても安価、紙パックの牛乳と同じくらいでしょうか)

そして何よりの特徴、本題に関する特性、発火点が高温な所です。

引火点は、火を近づけたり放電、スパークさせると燃えだす温度でガソリンは
マイナス40℃程度から火が付きます。

しかし、発火点ガソリンそのものが自然と燃えだす温度は
420~520℃程度!?

なんと500℃程度の差があります
もちろんこれより差がある物質は沢山ありますが
世界中の人が利用できるほど豊富に採れる物はガソリン以外には無いでしょう

この性質のお陰で真冬でも一部極寒の地域を除いてガソリンエンジンを始動できますし
熱々のエンジン内にガソリンを噴射しても勝手に燃え出さないで、エネルギーを効率的に利用できる訳です。
発火点、勝手に燃えだす温度が低いと勝手に燃えだしエンジンが正常に動きませんし最悪壊れてしまいます。
これが規定のオクタン価が必要な理由です。

・おくたん?ってなんの事?

420~520℃と幅があるのは測定方法やガソリンの質によるものです。
ガソリンと言っても石油を加熱蒸留してガソリンが液化する温度付近の物を分離しガソリン(の原料)としますので色々な成分が混じり合っています。

中でもイソオクタンという物質が自己発火点が高くシンプルな物質で、オクタンが100%のガソリンの時の自己発火点、厳密にはエンジンでの異常燃焼(ノッキング)度合いをオクタン価100として基準にしたのがオクタン価を言う訳です
(詳細はもっと複雑で、これは簡略化した説明です)

 

オクタン価を上げる方法

 どう言う方法があるでしょうか?

一番手っ取り早く、わかりやすいのはオクタン価が高い物を混ぜる事です。
ベンゼン・トルエン・キシレンと言ったベンゼン類
メタノール・エタノール・イソプロパノールなどのアルコール類が有名な所で、これらのオクタン価は110~120程度あります。
AmazonPR  エチルアルコール  オクタン価 RON129ポイント

実際ガソリンを製造する時にベンゼン類を増やすために、触媒下で高温高圧をかけ改質リフォームと言う工程を行います。

オクタン価の為だけではないですがメタノールやエタノールを加えたガソリンを販売している国もありますし、日本でもエーテル類を混ぜています。

しかし、これらの方法は個人で行うのは難しいかと思います
トルエン・キシレンは入手が比較的簡単ですが、オクタン価を実用的に上げるには大量に混ぜなければならず、経済性は良くありませんし安全や手間を考えると推奨できません

アルコール類の方も同様ですが、更にはアルコール類は発生熱量が少ないのと
多少なりとも金属やゴム樹脂類に攻撃性があると言う弱点があります、メタノールやエタノールはガソリンの約2/3の熱しか出ずパワーダウンや燃費の悪化を招く可能性があります。

・蛇足

日本では主にMTBE(メチルターシャリブチルエーテル)と言う物でオクタン価を稼いでいるようです。
これは燃焼熱量も高いですしオクタン価も高いですが、水と混ざりやすいため人体への安全性や環境への影響が危惧されてアメリカでは添加が禁止されています。
また非水溶性の為に環境への放出がしづらいETBE(エチルターシャリブチルエーテル)が使用され始めています。(ただし長期暴露の毒性や環境への影響は未知数)

有機金属系アンチノック剤

昔のガソリンにはアンチノッキング剤としてテトラエチル鉛が添加されていました、現代でも航空燃料などには使用されていますが、有機鉛は非常に毒性が高く、航空機用燃料は非常に高価で、現実的ではありません。

 



この投稿をシェアする



← 投稿順 新着順 →