バイクなどの湿式クラッチとPAO

ポリアルファオレフィン(PAO)は、トラクション性が低く、オイルによる撹拌抵抗や伝達力が弱いことで知られています。しかし、バイクのエンジンオイルやギヤオイルに使用されることは少ないのです。その理由は、湿式クラッチにあります。

湿式クラッチでは、半クラッチからクラッチミートまでの領域で、オイルを介して動力を伝達します。もしこの部分にPAOを使用すると、伝達力が低下し、いくつかの問題が発生する可能性があります。例えば、クラッチがいきなりつながってショックが発生したり、シフトフィールが悪化したり、クラッチの摩耗が促進されたりすることがあります。

一方で、クイックシフター装着車やレースシーンでは、PAOを利用することも検討に値するかもしれません。PAOは少量でも効果を発揮するため、性能を優先する場合には試してみる価値があるでしょう。ただし、日常の走行では、クラッチの動作に悪影響を与える可能性があることを念頭に置く必要があります。

結論として、PAOはバイクのエンジンオイルやギヤオイルとして一般的ではありませんが、特定の状況下では利用を検討できる選択肢の一つといえます。使用する際は、メリットとデメリットを十分に理解した上で、慎重に判断することが大切です。

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