温度変化と粘度指数
オイルは温まると柔らかくなり、冷えると固くなる。皆さんご存じのことですね。
だからオイルが固すぎたり柔らかすぎたりして不都合がないよう、
SAE粘度は取扱説明書の指定の物を選びましょう、というのが基本です。
しかし基本を書くだけでは味気ないので、もう1,2歩踏み込んでみましょう。
●動粘度と粘度指数
動粘度はその液体の粘度、つまり硬さです。
動粘度は温度により変わりますが、
一般的には40℃と100℃の動粘度が表示されることが多いです。
その理由として、粘度指数の存在があります。
粘度指数は温度変化による粘度の変化の度合いを示す指数ですが、
その基準となるのが40℃と100℃の動粘度の変化です。
粘度指数はオイルの性能を示すひとつの指標となるので、40℃と100℃の動粘度が重要になります。
もう一つ、動粘度を見る理由。それは、SAE粘度よりも詳しくオイル粘度を知ることができる点にあります。
SAE粘度で0W-30と書いてあったとしても、その範囲の中で固いものと柔らかいものはあります。
それを比較して、自分の車に最も適したものを探すとき、動粘度が参考になります。
●粘度指数を左右するものは
大まかに、基油の精製度と粘度指数向上剤です。
粘度は一般的に分子が大きいほど高くなります。
もし、大きい分子と小さい分子が混在していたら。
低温時と高温時の粘度の差が大きい、つまり粘度指数の低いオイルになってしまいます。
鉱物油の粘度指数が低いのはこれが原因です。
鉱物油由来の合成油と言われるGr.Ⅲ VHVIは、鉱物油を精製して目的の分子量を揃えているので、
粘度指数の高いベースオイルになります。
低温では低分子のようにサラサラ流れ、高温では高分子のように粘る物質があれば、粘度指数を高くすることができますね。
そんな都合の良い物質が、あるんです。これが粘度指数向上剤と言われます。
一般的なエンジンオイルはこれを混ぜることで、粘度指数を高め、広い温度帯で性能を維持しています。
●高温高剪断粘度
長いので略してHTHSV、またはHTHS粘度とも言われます。
エンジンオイルでは150℃の高温で粘度を測り、その数字を評価するのが一般的です。
これが何を示すかというと、オイルのタフさ(高温耐性)の指標になります。
先ほど、粘度指数向上剤の話をしました。
これは粘度指数を上げるためのあくまで添加剤であって、オイル(基油)そのものではありません。
そのため、高温・高圧下では耐え切れず、粘度が下がってしまいます。
粘度が下がると抵抗が減るのは良いですが、部品の摩耗防止効果も落ちてしまいます。
そこで、粘度指数向上剤に左右されない、オイルそのものの高温耐性を把握するために、
HTHSVが参考となるわけです。
しかしHTHSVが高ければ良いオイルかと言うと、そうとも言い切れません。
HTHSVが高いとオイルそのものが高粘度なので、抵抗が大きいという側面もあります。
オイルの温度が低めや適温に保たれる車では、THTSVが小さく、粘度指数の高いオイルが、
フリクションロスが小さく快適に走れるでしょう。
逆にオイルの温度が高くなりがちな高出力車や空冷エンジンなどは、HTHSVを重視してオイルを選んだ方が、
高温でも部品の保護性能を維持できます。
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