有機金属系添加剤の違いや使い分け

### 潤滑剤における有機金属添加剤:FM(摩擦係数低減剤)、AW(耐摩耗剤)、EP(極圧剤)

#### 特性、利点、欠点

##### MoDTC(モリブデンジアルキルジチオカーバメート)
- **一価アルコール型**:
  - **利点**: 摩擦が低い。
  - **欠点**: EPとAWの効果が少ない。
- **二価アルコール型**:
  - **利点**: EP効果が良く、熱安定性が高い。
  - **欠点**: コストが高い。
- **三価アルコール型**:
  - **利点**: 優れたEP特性。
  - **欠点**: 最もコストが高い。
- **二次/三次アルコール型**:
  - **利点**: 高い熱安定性。
  - **欠点**: 摩擦低減効果が少ない。
- **アリール/フェニールアルコール型**:
  - **利点**: 耐摩耗性が向上。
  - **欠点**: 溶解性が限られる。
- **アルキル鎖の長さ、サイズ、多重度**:
  - **利点**: 鎖が長いほど溶解性が向上。
  - **欠点**: 粘度に影響を与える可能性がある。
- **低/高金属含有型**:
  - **利点**: 高金属で性能が良い。
  - **欠点**: 高金属でコストが上がる。

##### MoDTP(モリブデンジアルキルジチオリン酸塩)
- MoDTCと同様の特性、利点、欠点。

##### ZnDTP(亜鉛ジアルキルジチオリン酸塩)
- MoDTCと同様の特性、利点、欠点。

##### モリブデンアミン塩
- **一価から三価アミン型**:
  - **利点**: EPとAWのレベルが異なる。
  - **欠点**: コストが異なる。
- **一次から三次アミン型**:
  - **利点**: 熱安定性が異なる。
  - **欠点**: 摩擦低減効果が少ない。
- **アリールアミン/フェニールアミン**:
  - **利点**: 耐摩耗性が向上。
  - **欠点**: 溶解性が限られる。
- **低/高金属含有型**:
  - **利点**: 高金属で性能が良い。
  - **欠点**: 高金属でコストが上がる。

##### タングステンアミン塩
- モリブデンアミン塩と同様の特性、利点、欠点。

#### 相乗効果と抑制
- **相乗効果**: FM、AW、EP剤を組み合わせることで、全体的な性能が向上する可能性があります。
- **抑制**: 一部の組み合わせは、個々の成分の効果を抑制する可能性があり、慎重な調合が必要です。

#### 用途
- **FM剤**: 摩擦を減らすため、低負荷のアプリケーションで使用されます。
- **AW剤**: 摩耗を防ぐため、中負荷のアプリケーションで使用されます。
- **EP剤**: 高負荷、高温の条件で保護するために使用されます。

自動車エンジン、産業機械など、アプリケーションの特定のニーズに基づいて異なるタイプと組み合わせが選ばれます。