バイクなどの湿式クラッチと固体潤滑剤について

バイクのエンジンオイルは、エンジン本体やトランスミッションギヤの潤滑に加え、クラッチの冷却も同時に担っています。湿式クラッチは、オイルの伝達力で力を伝える領域があるため、固体潤滑剤の使用がクラッチの性能に影響を与えるのではないかと懸念されることがあります。

しかし、実際には半クラッチ領域ではオイルによって伝達が行われ、徐々にクラッチがつながっていくため、固体潤滑剤をバイクのエンジンオイルに使用してもクラッチが滑ることはありません。また、一度クラッチがつながってしまえば、固体潤滑剤の影響はそれほど大きくないことが知られています。これまでに、固体潤滑剤の使用が原因でクラッチが滑ったという報告は確認されていません。

したがって、バイクのエンジンやギヤの保護には、二硫化タングステン(WS2)などの固体潤滑剤が非常に有用であると言えます。固体潤滑剤は、優れた潤滑性能を発揮しながらも、湿式クラッチの動作に悪影響を与えることがないため、安心して使用できます。
また、低温から摩耗防止効果を発揮しますのでドライスタート摩耗対策にも有用です。

一方で、燃料添加剤のフェロセンやMMT(メチルシクロペンタジエニルマンガントリカルボニル)などの添加剤を用いトルクアップした際に、クラッチが滑ったという報告があります(笑)

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