固体潤滑剤の粒径の考察
投稿者 :担当広報 on
エンジンオイルへの添加する固体潤滑剤(粉末状潤滑剤)としてテンペラメントルブで販売しているWS2二硫化タングステンをはじめ、エンドユーザー向け添加剤として使用されている成分として、MoS2二硫化モリブデン、PTFE四フッ化エチレン、BN窒化ホウ素、CNTやグラフェンなどの炭素構造体が市販されております。
しかしエンジンオイルメーカーの製品では一部ナノスケールの物を除きあまり使用されておりません、何故でしょうか
固体潤滑剤には、もちろんそれぞれ長所と短所がありますが、私が考える限りではまず分散性の問題、分散性がいくらよかろうとも所詮固体、油中には溶けません長期間静置していれば、いつかは凝集したり沈殿してしまいます。
それに固体潤滑剤はオイルが不透明になり製造ラインを汚したり、またオイルの状態の確認もしづらくなります。
そして、タイトルの粒径の問題、実際ナノスケールのモノは使われているようなのでナノスケールの物を使用すればよいのですがコストが非常に高く付きます、以上から安定性とコストの問題で使用されないのだと考えております。
しかしながら板状の分子同士が滑り合う性質で摩擦を下げるWS2、MoS2、BN、グラフェンは無闇矢鱈に粒径を小さくしても、かえって性能が低下するのではないでしょうか。
では、いかほどの粒径が良いか、エンジンでは通常オイルフィルターが付いており初期状態で20~40μm程の粒子の捕縛、使用して目が詰まってくれば一桁μmの粒子も濾し取るでしょう。
粒子径と言いましても平均や中央値で表されますので、幾分大きい粒子も含まれます、それを加味した十分に小さい程度の粒径だいたい1μm未満ならば安定した潤滑性能を発揮できるのではないかと考えます。
PTFEやCNTの話などもしたいですが、タイトルの趣旨から逸脱しますし何より長くなるので、また今度の機会に私なりの考えを書きたいと思います。