ハイポイドギヤの潤滑

ハイポイドギヤとは

ギアオイルにハイポイドギヤ用などと記載してあるのを見かけたことがあるけど、どういうものなのか詳しく知っていると言う人は少ないのではないでしょうか。

簡略図:実際には複雑な形状の歯が成型されています。

FR Layout Diagram

ハイポイドギヤとは回転軸の運動を90度伝達方向を変える、ベベルギヤ、かさ歯車の仲間で、入力するピニオンギアがオフセットしているのが特徴で、単純な転がりで伝達するのではなくウォームギヤの様に滑りながら伝達します。自動車ではFRや4WD車ではエンジントランスミッションからの力をプロペラシャフトで車両後方へ回転を伝え、伝達方向をハイポイドギヤで90度曲げ、ドライブシャフトに伝え、その力でタイヤを回します。

 

メリット

利点は歯当り面積が広いため駆動音が静かで、大トルクに耐えること、同じ耐久性能なら小型化が可能。また伝達先のギヤに対し、入力するピニオンギヤがオフセットしているので、プロペラシャフトを低い位置でき車内空間を広くとれます。

 

デメリット

欠点は、高性能なハイポイドギヤを作れる工作機メーカーは一社しか無く形状が複雑で高価なこと、伝達効率が良くない事です。

車種にもよりますが低負荷領域ですと10%以上!?も損失します、近年は燃費重視で効率を高めるため、オフセット量を少なくしているようです。

 

改善方法は?

自動車のハイポイドギヤはデフケースに収められています、ファイナルギヤやリングギヤと呼ばれる物と、その対になるピニオンギヤがハイポイドギヤです。つまりディファレンシャルギヤオイル(デフオイル)に浸かっています。

そこでデフオイルに添加剤を入れ損失を抑えられれば、発進時や加速時のレスポンスや力強さが向上するでしょう。

更にはストップアンドゴーが多い街乗りでは燃費向上にも非常に効果的かと思います。

 

どんな添加剤が良い?

デフオイルに添加する添加剤は何が良いでしょうか

ハイポイドギヤには専用のオイル(API規格:GL-4,GL-5)が必要なほど過酷です。ギヤの歯面には非常に高い圧がかかり、また構造上ギヤ間で滑りながら伝達するので摩擦が発生します、ですので高い極圧性と摩擦低減効果のあるIF-WS2あるいはWS2が良いでしょう、MoDTCも効果的ですし、併用もおすすめです。

またトラクション性の低いmPAOや、金属表面に化学吸着し強固な油膜を作ってくれるアルキルナフタレンも効果的です。

しかしデフオイルに添加するので湿式クラッチ式LSD(リミテッドスリップデフ)を使用していると、LSDの効きが悪くなる可能性があります。

mPAOなら問題なく使用できますが、その他の添加剤はドリフト走行などでLSDを強く効かせたい場合は添加を避けたほうが良さそうです。

それ以外の用途ならばLSDの効きを確かめながら、添加量を調整してご使用するのが良いかと思われます。


Share this post



← Older Post Newer Post →